お正月の飾りに欠かせないのが鏡餅。
昨今の住宅事情もあり、「門松は出せないけれど鏡餅だけは欠かさず飾る…」という方は多いと思います。
早いところでは12月初旬を過ぎた頃から真空パックの鏡餅が店頭に並ぶことも珍しくなくなった昨今。
箱には鏡餅のお飾りもセットされていてとても便利です。
とは言え、やはりお正月の伝統行事の一つとして、やる・やらないはさておき「鏡餅の形式」のようなものを知っておきたいな…というあなたのために。
今日は鏡餅を飾る時期や場所、鏡餅を飾る意味や由来などをご紹介していきたいと思います。
続き
目次
鏡餅ってそもそも何?
鏡餅の名前の由来は神道における三種の神器(勾玉・剣・鏡)の「鏡」からきているようです。
円盤状の昔の鏡(銅鏡/どうきょう)をご神体としてお祀りしている神社もありますよね。
この銅鏡は神様の依り代(神様の宿る場所/居場所)とされています。
つまり鏡餅とは、お餅を丸い形にして銅鏡に見立ててお祀りすることで、家に来られた神様の依り代としているのです。
また、鏡餅の丸い形は魂、そして月と太陽(陰・陽)を表わしているとも言われています。
重なる丸いお餅は和合、円満、調和といったことが積み重なるという縁起と、陰陽は一体であるという概念の象徴でもあるわけです。
例えば、お月見のお団子なんかもそうですよね。⇒(お月見っていつ何をする日?)
鏡餅のお飾りに意味はある?
鏡餅の「お飾り」にも、それぞれに意味があります。
地方によりお飾りの種類は若干異なりますが、ここでは一般的なものを挙げてみましょう。
三方(さんぽう)
ヒノキの白木で作られた、神様仏様、高貴な人への供物などを乗せるための台。
鏡餅を載せる。
四方紅(しほうべに)
白地に赤い縁取りのある和紙。
天地四方の災いを祓う。
鏡餅を三方(さんぽう)に載せる時に敷く。
裏白(うらじろ)
シダ類の葉。
裏白は茎を中心に葉が対象に生えていることから、夫婦仲睦まじく共に白髪の生えるまで、という意味を表わすとされている。
また葉の裏が白いことから、心の裏側まで白く(清らかで)あるように、という意味も含めている。
御幣(ごへい)
「幣束(へいそく)」「紙垂(しで)」とも呼ばれる。
御幣の稲妻のような形状は神様が地上に降りて来るさまを表わすとされている。
鏡餅に飾る御幣の赤は魔除けの意味を含めている。
譲り葉(ゆずりは)
常緑高木で古称はユズルハと呼ばれる。
この木は春に新しい葉が出てから前年の葉を落とすことから、代々に家督が受け継がれ、繁栄するさまと願いを表わすとされている。
昆布(こぶ)
「子生(コブ)」「広布(ヒロメ)」「夷子布(エビスメ)」とも呼ばれる。
子生は子宝、広布は吉事の広がり、夷子布は七福神の恵比寿様という意味合いを含めて、願いと縁起を表わすとされている。
橙(だいだい)
「代々(だいだい」」とも呼ばれる。
「だいだい」という音の響きと合わせ、1本の木にいく代か続いて果実が実ることから、家族繁栄や長寿の家系であるように、との願いを表わすとされている。
また三種の神器のうちの一つである「玉(勾玉)」を表わしている、とも言われる。
串柿(くしがき)
「嘉来(かき)」とも呼ばれる。
渋柿を串に刺して干し柿にしたもの。
「食べることのできない渋柿も、手間と時間をかければ美味しい干し柿になる」「この世に無駄なものは一つもない」という概念や精神を表わすとされている。
また串を使用することから、三種の神器のうちの一つである「剣」を表わしている、とも言われる。
その他
この他、地方の風習や各家庭により様々なものが鏡餅とともに飾られるようです。
勝栗(かちぐり)
「搗栗(かちぐり)」とも呼ばれる。
栗を干したものを焙煎し、殻と渋皮を取り除いたもの。
「かちぐり」という言葉の響きから「勝つ・勝利」と言う意味と一年の快進を重ねて願いと縁起を表わすとされている。
五万米(ごまめ)
「田作り(たづくり)」とも呼ばれる。
カタクチイワシを乾燥させたもの。
イワシを肥料として使うと田畑が豊作となったことから、豊穣祈願を表わすとされている。
黒豆(くろまめ)
「黒大豆(くろだいず)」「ぶどう豆(ぶどうまめ)」とも呼ばれる。
黒豆の黒色は厄除けの色とされ、また「まめ」という言葉の響きから「まめに(元気に)暮らせるように」「まめに(精を出して)働けるように」といった意味を含めて、願いと縁起を表わすとされている。
寿留女(するめ)
「当たり目(あたりめ)」とも呼ばれる。
イカを乾燥させたもの。
「スルメ」は日持ちすることから長寿の願いを表わすとされている。
また、お金のことを「おあし」と呼ぶことから、足の数が多いスルメは財に恵まれるという願いと縁起を表わすとされている。
伊勢海老(いせえび)
赤く硬い殻を甲冑に見立てて快進する勇ましさを、ピンと張った触覚は勢いを、腰が曲がっているような姿は長寿の縁起を表わすとされている。
鏡餅はどこに飾ればいいの?
鏡餅はその意味を知れば、おのずと飾る場所も決まってくるのかな、という気がします。
鏡餅はいわば神様の分身のようなもの。
ですので、やはりそれに相応しい場所(その家で最上級の場所)が良い、ということになりますよね。
昔ながらの造りの日本家屋であれば「床の間」でしょうか。
洋風の家屋やマンションなど、床の間が無い場合はリビングの上座になる場所が良いようです。
(この場合の上座は細かく考えすぎず、神様をお客様と捉えて「一番快適そうな場所」を選ぶと良いようです。
方角から考えるのであれば東向き、または南向きが良いとされているようです。)
ちなみに、鏡餅は家にいくつお供えしても良いようです。
ですので、大きな鏡餅を最上の場所に、神棚や台所や各部屋には小ぶり鏡餅を、ということもあるようです。
鏡餅を飾る日は決まっている?
一般的に、鏡餅をお供えするのは28日、または30日とされています。
その理由は諸説様々ですが、一つは縁起担ぎの部分です。
「八」という数字は末広がりで縁起が良いとされていることから「二十八(にじゅうはち)」とは「二重に末広がる」ということのようです。
同様に29日は「二重苦」と重なるため、避けられているようです。
(ただ、29日は「ニ九」で「ふく餅」という考え方もあるようですが…。)
いずれにせよ、神道においては、新年の歳神様(としかみさま)が家に来るのは31日の早朝とされているようですので、やはり神様をお迎えする準備は遅くとも30日中に済ませておく、ということのようです。
真空パックの鏡餅が無い時代においては、あまり早くからお供えしてもカビが早く出てしまいますし、30日、31日は年越し年明けの準備もあり、家内も慌ただしかったことと思います。
鏡餅の準備には餅つきも必要ですから、やはり28日というのは理に適っていたのではないかな?とは思います。
鏡餅まとめ
さまざまに深い意味がある鏡餅用のお飾り。
現代風の真空パックのお餅では、全てを完全に飾るには少々無理があるかもしれません。
別のお皿に盛りつけてみる、形にこだわらず三方に飾るなど、その意味合いを楽しみながら神様にお供えしてみても良いかもしれませんね。
神様事では、形式に意味があったとしても、まず、気持ちが一番大切ですからね。
良くも悪くも気にしなければ何の意味もないのかな、というふうに思います。
ですので鏡餅を飾る日はあなたの生活事情に合わせて、心地よくお正月を迎えられるタイミングが一番ではないかな、と思います。
囚われすぎず、日本独自の良い風習を楽しみながら良いお正月をお迎えくださいね!